小説2 僕は赤が好きなんだ。

僕の家には、あの、布団とベッドの間にあったかい空気を入れるための袋を入れて、

ベッドを乾燥させたり、ダニ繁殖予防したりする、あのあったかいやつがある。

僕はあそこに飛び込むのが大好きだ。

今日みたいな、ジメジメとして、けど少し肌寒い梅雨の終わり際に、その中でぬくぬくと布団とベッドと袋と一緒にあったまる。

そんな瞬間が僕は好きだ。


「はぁはぁ、」

俺は今何してるんだろ。

そうだ走ってる。

なんで走ってるかって?

後ろを見てくれよ、分かるだろ、

追われてるんだ。察してくれよ。

ガタイのいい男?いや違う、そんなの簡単にやり返してやる。

俺は困ってるんだ。

あれが女だから。


「はぁ、はぁ、」

しつこいな、くそう、


僕が何をしたのか。

女に追われてるとくれば簡単に想像つくでしょう?

うん、そうだよ。犯したんだ。彼女のこころを。

付き合って、数年。夫婦のように何十年と続くような恋愛じゃない。

けど、ずっと続くと思っていた運命の相手だと思っていた相手。

彼女は何をしても許してくれる。だって僕のことが好きだから。

ずっとそう思ってた。


M「おい!いいかげん追いかけてくんのやめろよ!

お前もへばってんじゃねぇか!」

W「だまってよ!あなたが何したかわかってんの?!  本当に、本当に、」

M「おい、なくな、」


俺がしたことは俺が一番よくわかってる。

浮気?そんなのしたよとっくに。けど許してもらった。そんなことじゃ、終わらない。

もっとだ。もっと。俺は彼女の心を、犯した。


ある日、俺は気づいた。彼女とは何なのか?

それは、体を許してくれ、心を許してくれ、すべてが俺のものである存在。


なんてものではないことを。


長く時間をともにすればするほど、ずれていく。いや、ごまかしがきかなくなるというのだろうか。たがいの本質に近づけば近づくほど、見えてくる違い。他人と生きることの難しさが嫌でもわかってきた。楽しさだけでやっていけるほど、簡単じゃないらしかった。


けど俺は、彼女を愛していた。本当に、まだ人生の半分も生きてない俺だけど、きっと

この人よりいい人となんて、もう出会わないだろうと思っていた。結婚適齢期は、

遅くて30後半なんだから、15歳からあせって当然だと思う。あと半分しかない。

それまでに、最適な人を見つけて、結婚して、幸せな家庭を作る。俺は、小学生からずっと

夢見ていた。


でもさ、実際に自分の人生を誰かとくっつけて生きると考えた時。

どうしても俺は、恐ろしかった。そして、彼女にも隠している事実。俺が元犯罪者であることを告げなければいけないこと。

俺は人を1人殺してる。


W「なんで、なんであんなことしたの?答えなさいよ!」

M「怖かったんだ。」

W「ふざけんな!! もう二度と、二度と、人前に出てこないで! 人殺し」

M「うん、ごめん、明日警察行くから。一度家に帰らせて、袋をもってこなくちゃ」


あぁ、懐かしい。”人殺し”だってさ。そうだよね。

人を殺すことは許されない。ルールがある社会だからだろうか、

それとも俺が人だからだろうか。人を殺したのは、事実だ。けどさ、けど、

ううん、これも言い訳でしかないか、

けど、人殺しって言われたことある?君。 すっごく、つらいんだよ。その言葉。

けど知ってる。自分がしたことだ。一生背負っていかなきゃいけない。

だからこそ、僕は彼女とは結婚できない。しちゃいけない。わかってる。

好きが消えてくれれば、あるいは俺が死ねば。すべて解決する。






ーーーーーー半年前ーーーーー

俺たちは、あったかい冬を家で過ごしていた。

冬は寒い季節?いや違う。肌寒い時こそ、人の温もりを感じられる最高の季節だ。

もし君がこの幸せをしらないなら、誰かと付き合うといい。

まぁ、こんな話は置いておいて、

今こんな、話をしたのにも理由がある。俺はこれが最後かもしれない。

今日、結婚を決めたことを告げると決めて俺はここにいる。

彼女にすべてを話す。そう決めた。

きっと彼女ならすべてを受け入れてくれる。


「ただいま」


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僕は目を疑ったよ。

扉を開けたら、彼女が笑って立っていたんだから。

血まみれで。


家で待っているはずだった彼女がなぜか、

血まみれで、僕の帰りを待っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は、やっぱりそういう人間なんだろうな。

人を信じられなかったんだ。

あの時もそう。


僕が初めて人を殺した時も

家に帰ってみたら、死んでいた。

いや、生きていたのかな。

「ただいま」っていったら

笑顔で、血まみれでたってたんだから。

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僕はさ、また殺しちゃったらしいんだ。

怖かった、僕の心が犯されていくのが。

だから殺した。たぶんそう。

人を殺すのにだいそれた理由はないんだと思う。

ただ怖いから。自分を守るために殺した。

きっとそうだ。

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物語の終わりは、つまらない。だって、

簡単に今までのヒントで想像できちゃうから。

けどさ、最後に答え合わせをしてみようよ。せっかくだから。

君と僕の想像がどこまでシンクロしたのか。


「ただいま、明日警察に行ってくるね。あったかくしてたかい。」

僕が好きなベッドの色は赤だよ。






ジュニアブログ 我が人生とは人の行動への刺激。

誰れかの考えというのは、誰かの考えが含まれて成り立っていると思います。 そこに少しでも私の考えが含まれると、行動に変化が生まれると思います。 その行動が、未来を変える。 社会を変えると思います。 私は社会を、人々が可能性を信じ、未来を作っている自信を持ち、明日を生きる力を強く持て、私はここが良いんだと言える社会を作りたい。 日記としても使われます。

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