小説
『はぁーだる、 』
これは彼のいつもの口癖。
そんな言葉と共に朝は始まり、朝のルーティンが行われる。
パシャパシャ、
今日は前髪上げるか。
朝の準備を終えたら、彼はカフェで朝食を取る。
(緊張するなぁ。)
>€*<{
『おまたせ!』
『遅かったじゃんか笑』
『ごめん〜。だってさ!
来る途中おばあちゃんが、重たい荷物持ってて、大変そうで、』
『はいはい、いつものな笑笑
えらいえらい。』
『えへへ』
『アキは何食べる?』
『うーんこれにすふ!
彼女が選んだのは、店で1番安いやつだ。』
『(๑・̑◡・̑๑)!美味しいね!』
(かっこいいなぁ、忙しくて少ししか会えないなんて、本当に、仕事したくないよぉ、)
『あぁうまいな。
おい、アキ!時間ないぞ!』
『あっやばい!
行ってくるね!』
チャリーン。
[お会計3500円になります。]
カランカラン。
『さて、俺も帰るか。
一度風呂でも浴びようかな。』
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『おはようございます!!』
『おー来たね!
今日もよろしくね。』
彼はオーナー。
とっても優しい人で、凄く私に構ってくれる人。
『おっおはよ!
おいオーナー!あんた奥さんいるでしょ!
アキに色目使ってんじゃねーよ笑。』
『すまんね。』
彼は、シュン、なんかいつも回りくどい言い方してきて嫌なんだけど、大学生ながら、自分の作ったもので起業したりと、何かと凄いから、人として尊敬してるの!
『よっ!』
彼はりょう。
そんなに仲良いわけじゃないけど、
遊んだり話したりする人。
唯一私のことを可愛いって言ってこない。
直接は。
彼の口癖は、お前に可愛いって言ったら調子乗りそうで嫌だ。である。ふふ。
サァテ、仕事頑張らなきゃ。
私の仕事は、ホテルマン。
毎日働いている。私をお母さんは1人で育ててくれて、私の家にはお金がない。
だから、たくさん私が稼がなきゃいけない。
けど、
毎日同じ場所にきて、同じことをして、
昨日の私を今日も演じなきゃいけないみたい。唯一違うのは、お客さん。
けどやっぱり、常に笑っていけなきゃいけないのが苦痛よね。
『あら、嬢ちゃんかわいいね!』
『あっいえいえありがとうございます。』
『彼氏はおるんかい!?』
『あはは、いますよぉ〜。』
『そーやろなぁそんなべっぴんさんやったらなぁ!はっはっはっ。
いヤァ酒がうまいな!チップ入れとくよ!ほれ!』
『ありがとうございます!』
これが私がここで働く理由だ。
夜の仕事は嫌だ。けど、じゃないと稼げない。そう思ってた時に見つけた求人。
ここのお客さんはお金があって、沢山のチップをくれる。何ていい職場なんだろう。
そして(私よく可愛く生まれてきた!👍)
『あの子、まじうざいよね。』
『なんだっけ、アキ?
自分で気持ち悪いのわかってんのかしら。』
『あんなブリブリしちゃって、
あーキモ。あんなやつと同じ職場とか最悪よね。』
(((ねぇー!)))
『ほかの男どもも、どんだけアイツに近寄ってるのよ。私たちが挨拶しても全然見向きもしないくせに。』
『ブスは、優しいことなんてしてもらえないのわかってるのかしら。あいつら。
意識してやってないのが余計うざいのよね。男って。あーきもい。』
『しかも。男は付き合う前だけよあんなの。
付き合ったら全く何もしてくれないのよ。
あのこ、そんなのも知らないくせに、チヤホヤされて浮かれちゃって。あぁ!本当にうざい!』
『まぁまぁそんなこと言わずに、
仕事しましょうよ。先輩。』
『まぁそうね。
愚痴ってても仕方ないわ。』
愚痴を聞いていた一番の後輩は、
アキの親友である。
彼女は、とても気配り上手で、優しい。
その優しさのせいで、はっきり物事が言えない時があるけど、アキの良き理解者であり、
それにアキも心を許してる。
だから、この愚痴は心が痛かった。
けど、ユキも、心当たりはあった。
(アキは少し、俗に言うビッチだと思う。男が好きで、あざとくて、男に依存してるって言ってもいいくらい。一線は超えないんだけど、だから余計。汚い女っていうイメージにもならなくて、清楚だけどビッチっていう、
絶妙なところにいると思う。
彼氏は嫉妬しないのかな。笑笑)
彼女もそこそこ、モてるのだが、
アキとちがって、人との付き合いが、いや正確には、同性との付き合いが上手く、気配りができるため、誰からも恨まれない。
人との距離感もとても上手い。
相手に迷惑をかけない一定の距離をとてもわきまえてる。出過ぎず、控えすぎず。
完全に人と調和する。完璧だ。
バタンッ!
『ふー!仕事終わったぁ!
お疲れ様ユキ!
今日も疲れたぜ!』
『そーねー。
私も疲れたよぉ〜』
こうやって終わってから話すのが私たちのルーティン。
けど、アキはいつも少し話したらすぐに帰る。たまにご飯を食べには行くんだけど、彼氏がいるからね。
『じゃあね!』
『うんばいばい』
(急がなきゃぁ!!!)
>€*<{
『ただいま!』
『おーきたきた。
仕事お疲れ様。』
『疲れたぁよぉ〜!たすけてぇー。』
『はいはいよしよし。』
『よし!充電完了!
料理作るから待っててね!』
『はーい。』
(アキの料理はとてもうまい。今日は何を作ってくれるのだろうか。)
『ねぇタカ
私のこと好き?』
(おっなんていうタイミングでその、男が返答に困る質問をしてくるんだ!)
『ああ、好きだよ。』
『へへへ。待っててねぇ!』
彼らはそうして、美味しいご飯を食べて共にお風呂に入り、ベッドに入った。
朝を迎えた。
(隣にタカはいない。もう、行っちゃったか。
次会えるのは、明後日か、、)
『さて!仕事に行かなきゃ。』
『おはようございます!』
『おはようございます。』
『おはよー』
『よっ。』
いつもと変わらない、1日が始まった。
しかし今日は、
職場に届く、給与と、使用額の紙が届く。
今は、全てのお金の取引が一括したカードでまとめられる。
100万円。
98万。
『2万貯金できた!』
これを少ないと思うのか多いと思うのか人によるだろう。
けれど彼女の貯金は、ほぼないことは想像に容易いだろう。
____________________
『ふー、
いい風呂だ。』
俺は風呂が好きだ。
さて、今日は何をしよう。
今日は仕事が無いし、家に居ても暇だしな。
あーてか、だるい、うざってぇな、
メールが溜まってやがる。まぁ今日は休みだし返さなくていいか。
よし
今日は髪下ろして行くか。
>€*<{
よし、彼女にでも会いに行こう。
『よっ!来たぜ。カエデ!
なんでも好きなもん食いにいこうぜ!』
『じゃあ、回らないお寿司が食べたい!
あとさ、なんでいつも髪下ろしてばっかなの?今度は前髪あげてるところ見てみたいなぁ。』
『おーいいぜ!
行こうか。』
『ユウ大好き!』
『俺も好きだよ!』
『ふぅ、美味しかったね!
お腹いっぱいだよ!
ねぇねぇ、遊園地行きたいなぁ!』
『あーいいよ。
じゃあお会計してくるね。』
[3万円になります!]
チャリーン。
カランカラン。
(遊園地って意外とお金かかるよな、、
俺今お金いくらあるんだろ、足りるかな。)
今月の収入90万
残り 5万
(あー結構使っちまってたな。
まぁ明日で月も変わるし、いいか。)
『よし楽しむか!
そうだな
今日はパーっと行こう。』
『カエデ、ホテル行こ。』
カランコロン
『おかえりなさいませ。
フロント受付はあちらになります。』
>€*<{
『タカ?』
>€*<{
『お伺いいたします。
お名前をよろしいですか?』
『高木ユウ』
『乃木楓です。』
『ありがとうございます。
お部屋のご用意はできています。
202号室になります。
ごゆっくりどうぞ。』
『ありがとうございますぅ。
あのー、気になったんですけど、
タカ?ってなんですか?』
>€*<{
『ん?なんのことですか?』
『あれ、いや、なんでも無いです。すいません。』
>€*<{
(危ねぇ、あいつなんで覚えてんだよ。
クソが。)
>€*<{
翌朝。
>€*<{
(はぁつかれたぁー。
サァさっさと帰って、彼氏に会おうッと。)
>€*<{
(ふー!よく寝た!
さて彼氏に会いに行こう!
またいつものカフェね!)
『おまたせ!タカ!』
『おう!おはよう』
『今日は何食べよっか。』
『いつものがいいな』
『うん!いいよ!』
>€*<{
『カエデ?』
>€*<{
『あはは!
ねぇコウタぁ〜!
ねぇねぇ!
あーん!』
>€*<{
『あれ?』
『カエデ?』
『あれ?』
『アキ?』
>€*<{
『あれ、ユウ?』
>€*<{
『あれ、タカ?』
>€*<{
『ユウ!
なんで他の女といるのよ!』
『お前だって誰だよそいつ!
離れろ!くそ!』
『ねぇ、タカ?何言ってるの??
ねぇ、?』
『ウルセェ!誰だよお前!
俺はユウだ。
契約彼女だろ!お前は!黙ってろ。』
『あれ、?
ユウ?ユウ?ユウって誰だっけ、
あれ、コウタ?あれ、
私の彼氏はどっち?』
『タカ?タカじゃないの?』
『うるせぇって言ってんだろ。』
『待って、待って、なんで、
違う違うの、まって、タカは私の彼氏だよね?』
『忘れてんじゃねぇよ
お前は、俺を金で買ってただけだろ!』
『それは君もだろ?
カエデ、君の彼氏は僕だ。
あっちのユウとかいうやつは、君の契約彼氏だ。思い出すんだ。』
『え!あっ、、え、
コウタ?ユウ?』
『ごめんコウタ、、忘れてた。』
『あぁ、いいよ。』
(いい金づるだからな、この女)
『は?おい待てよ、
カエデは俺の女だ!』
『違う!私はあなたの契約彼女!
今は契約時間外。もう話しかけないで。
黙って。うざいのよ。』
『おい、え、待てよ、』
『タカ!こっちみてよ!』
『うるせぇってお前は黙ってろ、
なんでだ、なんだこれ、あぁぁぁぁぁ』
>€*<{
>€*<{
>€*<{
>€*<{
システムハッキング修復完了。
記憶正常化完了。
契約再開します。
>€*<{
『ねぇ、タカ!
美味しい?』
『あぁ、美味いぞ。』
『ふふ!
あっ仕事に行かなきゃ!』
『あれ、もうそんな時間か。
頑張れよ!』
うん!
[3500円になります。]
チャリーン
『行ってきます!』
カランコロン
>€*<{
『ふぅ、帰るか。』
(あっ今月が始まったのかそういえば。
いくら入ったかなぁ)
100万円
うふふ!またいっぱい稼いだ!
よーしじゃあ、90万入金しなきゃ!
また、タカに会うんだ。
あんなに幸せな時間、失いたくない。
もっと稼いだら!
たくさんタカに会える!
(いくら入ったかなぁ今月は。
おっ90万あるある。)
(はぁ、いい商売だよなこれ。あはは。
80万入金っと。
これでまた、今月の楽しみができた。
待っててくれよ、カエデ。)
(80万も入ったわ。ふふふ。
今月はコウタに何かってあげましょう。
どんな顔して喜ぶかなぁ。)
今の流行りは、
契約カップル。昔から流行っていたデリヘルや、風俗、ホスト、あれよりもより良い時間を過ごすため。僕が生み出した仕組みだ。
なんで僕は天才なんだろう。
ははは。あぁ面白い。
なんであんなに人は、恋を欲するんだろう。
見たか!あの高木ユウくんの焦った顔笑笑
アキちゃんも頭おかしいんじゃないか?
あんなにモテるのに、金もないくせに頑張って働いて、あんな男に金を使って。
何がいいんだか。
あんな仮初めの幸せ。
あっ笑笑
仮初めじゃないんだった。
僕が記憶をいじってるからね笑笑
さっきわざとその記憶を復元したらあーなっちゃった笑笑あぁおかしくて笑いが止まらないよ笑笑
アキちゃんは
全く気づいてない。あんな幸せそうに必死にしちゃって、
入金してることにも気づいてない。
無意識を操ってるからね。
彼女は自分の選択だと思ってる。
あーしないとタカに会えないと信じ込んでる。あれが当たり前。
そしてあった時、至高の幸せを味わえる。
たった一瞬でも。ね。笑笑
これは別に僕への直接的な収入は全くない。
けど、みんな働くんだ。笑笑
会うために。
それを僕は労働力として斡旋してる。すごく簡単なお仕事。笑笑
みんな
そんなにカップルでいたいかね。
何も得られないというのに。笑笑
あぁ、人間って面白い。
アキちゃんは、どんどんと自分の身を落としていってる。周りに嫌われて、お金も無くなって、依存して、そして最後、僕の所に来るはず。
ん?私の名前?
雪乃だよ笑笑気づいてた?笑笑君すごいね。
契約カップル
それは最高の、そう、本当に最高の幸せを
得られる。それがたった数分、だとしても。
しかし、
それは仮初め。
誰も本当に幸せにはなれない。
しかし絶望を味わうこともない。
彼らは皆日々を楽しみにしている。
契約カップル。
これは誰も不幸にしない完璧な仕組みだ。
タイトル
契約カップル
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